読んだことがあるような気がしたけど、持ってはいない気がして書店でこの小説に目が行く。数ページ目を通すと読んだことがあるような気がしたけれど、今読みたい物語だという確信もあって購入して、帰りの地下鉄で文庫を開く。読んだことがあるような気がするのは、ここに書かれているのは世界で今起こっていることとを抽象化した寓話だから。現実の中でさえ単純化された善と悪と、正義のようなもので覆い尽くされそうな世界。機械や植物で作られた生物たちの国で始まる独裁と虐殺、単純化されたものの美しさは暴走というよりは、恐ろしい方向にだけ進んでいくのだと思う。内ホーナー国と外ホーナー国での数日の話、背景の説明が最小限でもわかる世界の中で起こる怖いけどとても笑える話。笑えるところがまた怖い気がします。
余談ですが、ちょうど読み終わった日に「ミルキーサブウェイ」の映画版観に行ってたのもあって、ホーナー国の生物たちの姿形を、別のフィルターかかった想像ではあるのですが、詳細に頭に思い浮かべられてより物語が頭に入って来た。あと、やっぱりこの本持ってた笑。 おかげで、これはこういう話、ってシンプルに言い切ることはできない。世界に単純なことなんて一つもないかも、と思った。