のちに「残酷な夜」というタイトルでも出版される本の別訳。ジム・トンプソンの小説はなんというか負けが決まっているというか、失敗が決まっているというか終わりが決まっているというか、そんな予感を感じさせる。その中で起こる細かな出来事には予測はつかないのだけれど。いい意味で無駄にドキドキする。その中にハッとする言葉がある。みんな狂っている。でもそれは世界も同じなのかも。それは言い過ぎだけど笑。帯なし、しおり紐が少しキレてます。
「確かに地獄はある・・・・」今こうしてベッドに横たわり、女の吐息を顔にうけ、体をぴったり押し付けられていても、やつがこう言うのを聞くことができる・・・・ 「そこは不毛の砂漠だ。太陽の光や温もりも届きはしない。<習慣>が老いさらばえた<希望>をなんとか支えている。はかない欲望と不滅の運命が混在するところ。夜ともなれば忌々しいうめき声や歓喜の叫び声がとどろくところ。そう、そこは地獄だ。掘り起こしてはならないところだ・・・・」